某研究施設に勤務する研究者です。研究や趣味の麻雀のこと。

天鳳成績管理ツール
最終更新 2011-03-04

当ブログのデータ等を転載したい場合は筆者まで一報願います。

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
牌譜解析記事まとめ
過去記事へのリンクをまとめています。

カテゴリ
以前の記事
<   2010年 08月 ( 1 )   > この月の画像一覧
教育格差が日本を没落させる(レビューと感想)
b0126381_10311160.gifお久しぶりです。7月中はイギリスに出張しておりました。

滞在中に福地先生の著書「教育格差が日本を没落させる」を読んだのでレビューと感想を書きたいと思います。

正直、福地さんは麻雀や天鳳を打つ合間に仕事をして、飽きたらサン牧、ブラ三、テンガと廃人的イメージがあったのですが、我が国の教育システムを冷静に分析した内容に教育学を専攻していたのもダテじゃないんだと思いました。

この本の要点は、現在の日本の教育システムは、家庭の経済力や文化力が教育格差に直結し、それが学歴や思想の格差を通じて、将来の社会的地位の格差につながり、やがてはこの格差が次の世代に再生産され続けるというもので、本書の中でその仕組みが述べられています。

面白いのは、経済力や文化力がない家庭の親は子供にできる限りの教育を受けさせたいのではないかと思いがちですが、実際は必ずしもそうではなく、むしろ自分と同じ生き方を子供に教えるケースが多く、その結果、この水準が再生産されているというものです。豊かな家庭の親は優れた教育へ投資し、貧しい家庭の親は初めからそんな環境すら望んでもいないから向上心がなく、いつまでも格差は縮まらないということです。

僕の感想ですが、何事にも成長するためには高い目標を持っていなければならないと思うのです。従って、親は決して子供に「身の程」を決めるような発言をしてはいけないと思います。子供が「俺なんかどうせ…」と思うようになったら成長することを止めてしまうかもしれません。

麻雀に例えると「自分はどうせヘタだから…」と思っている人はなかなか勝ち組にまわれないと思います。これは謙虚さではなく劣等感だからです。リアルの世界も同じでしょう。「勝ち組」は常に自信に満ち溢れ、現状に満足することなくさらに上を目指しているのです。

福地さんが自身の人生経験を述べている箇所にシンパシーを感じた文章があります。
-------------------------------------
それは人間の可能性なんてわからないと思うからだ。(中略)
所属する集団からいったん劣等あるいは優秀とマーキングされたとき、人は(とくに子供は)そのレッテルどおりの存在になってゆく。集団にはそんな力がある。人間は環境の生き物であって、環境に恵まれるか否かによってまったくの別人になる。だが、その違いは紙一重に過ぎない。
結局は心なのだ。

-------------------------------------
人間は目標を掲げて、実現できることを強く想像しながら取り組んでいれば、目標は次第に現実に近づいていくものなのだと思います。一方で「俺はなんかどうせ…」と限界を勝手に決めてしまうと結局その程度に落ち着いてしまうのでしょう。

僕は社会のシステムに矛盾を感じるならば、まずは今のシステム受け入れ、そのシステム中で勝ち上がり、自らがシステムを構築する側に回らなければ変えられないという考えを持っています。

天鳳はラスによるデメリットが大きく一般的な麻雀と大きくかけ離れていると批判する人はいるものの、実際のところプレイヤーはそのシステムを受け入れ、そのシステムの中でどうすれば勝ち上がっていけるのか戦略を立てて戦っています。

現実の社会だってこれと似たようなものに思えます。
多かれ少なかれ納得のいかないシステムであっても、とにかく我々はそのシステムの中で生きていかなければならないのです。批判するだけなら簡単ですが、それならばこのシステムを受け入れ、その中で勝ち上がる方法を探る必要があると思います。

少し僕自身の話をします。
僕の家は裕福ではありませんでしたが父親が教育には積極的であったため、その点では恵まれていた方だと思います。そのおかげか幸いにも小中高通じてトップクラスの成績を収め、旧帝大に進学、学科を首席で卒業し、大学院入試もトップ合格できました。そして、その頃から様々な所から助成金や研究補助金をいただきかなり自由な活動が展開できるようになり、博士取得後ヨーロッパの研究所に就職しました。

このとき僕は初めて現行のシステムに従って登り詰めていくと国が味方してくれるようになることを身を持って知りました。そうなると活動の幅は広がり、さらに成果を挙げられるようになります。同時に人脈も広がるので次のステップへのチャンスも生まれてきて、正のフィードバックが働くのです。

これには福地先生の言う、子供の頃に親から良い教育を与えられていた影響があるのかもしれません。しかし、一番大切なことは、常に目標を高く掲げ、それを達成する理想を追求し続けたためだと思っています。

やはり結局は心の持ちようなのではないかと思うのです。
子供は、目標を持って取り組み、小さな達成感を積み重ねていくうちにそれが大きな自信となり、少々高い壁にぶち当たっても「自分なら越えられる」と感じるのだと思います。一方、子供の心に達成感が不足していると、不安で「壁を越えられない」と思うどころか、向上心も十分に芽生えないので初めから壁を越えようとも思わなくなってしまうのでしょう。

現在の教育システムはボトムアップ型からプルトップ型(少数の優秀な人間を育成する教育方法)にシフトしているそうです。そしてこれは現在の産業構造が、トップに立つ少数の人間が経営手法を考え、大多数の人間がそのマニュアルに従って淡々と作業をこなすような形態になってきているため当然のことなのだそうです。なるほど、だからこそ大多数が自分で壁を越えようとしなくてもよい社会になってきているのだといえます。

この本の後半では、教育格差にメスを入れるべく日本はもっと教育に投資すべきだという主張が述べられています。確かに産業構造を改革するのは難しいですが、子供たちが目標を持てる教育環境を作り、達成感を味わせ、自信を持たせるような教育システムが求められているように感じました。たとえ家庭に経済的、文化的な格差があっても、そこから脱却できるチャンスは少なからず生まれてくるのではないでしょうか。
現在の教育システムを客観的かつ冷静に分析した本であると思います。

教育格差が日本を没落させる(福地誠・洋泉社)
[PR]
by doraaka | 2010-08-05 00:47 | 日々雑感


その他のジャンル
Twitter
記事ランキング
画像一覧
AX